【ウェビナーレポート vol.2 前編】~加点方式の品質評価で神対応でバズるコールセンターへ~

記事前編「コンタクトセンターを取り巻く環境変化と新しい品質評価の必要性」

こんにちは。株式会社シーエーシー感情解析事業推進室の下地です。

皆さんは、「応対品質を高め、お客様に満足していただけるコールセンターであり続けるためには、どのような評価基準を設けたら良いのだろう」と悩んだ経験はありませんか?

近年は、チャネルの多様化でお客様がコンタクトセンターに問い合わせるきっかけや期待することが変わってきています。それに伴い、コンタクトセンターが担うべき役割や求められる応対スキルも変化しています。

このような転換期のなかでお客様に満足してもらえるような「神対応」を目指すためには、オペレーター一人ひとりの応対品質の向上が欠かせません。そこで注目されているのが「加点方式」の品質評価です。

弊社ではこのような動向を踏まえ、昨年10月に行われたオンラインカンファレンスの中で、『「加点方式」の品質評価で神対応でバズるコールセンターへ 〜CX向上・お客様をファン化する応対品質とは〜』というテーマについて対談しました。

約20年に渡りコンタクトセンター業界に従事し深い知識と経験をお持ちの株式会社Value of Lifeの数矢英子氏をゲストに迎え、「これからのコールセンターに求められる品質評価の在り方」について対談した模様を前編・後編の2回に渡ってお届けします。

前編では、コンタクトセンターを取り巻く環境の変化や新しい品質評価の必要性について解説します。

“おもてなし品質”を実現するための評価方法に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

どう変わった?コンタクトセンターを取り巻く環境

顧客接点の多様化が生み出した「ある変化」

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コンタクトセンター業界に長年携わっておられる数矢氏からみて、コンタクトセンターを取り巻く環境は近年どのように変化してきているのでしょうか?

数矢氏:

最も大きな変化は「顧客接点」です。以前は顧客が企業にアクセスする手段は電話しかありませんでした。しかし、今はメールやウェブサイト、さらにはスマートフォンアプリなど多様な選択肢がありますよね。

また、アクセス手段だけでなく「問い合わせの性質」にも変化が見られています。特に注目すべきは電話での問い合わせで、他のチャネルで解決できなかった課題が集中する傾向にあります。単純な疑問は顧客自身がウェブサイトの情報やメールボットなどを通して自己解決するケースが多く、より複雑で高度な対応が必要なケースが電話窓口に集中するようになってきているのです。

オペレーターに求められる価値とは

下地:

電話での問い合わせ内容が高度化していることは、応対するオペレーターへどのような影響をもたらすでしょうか?

数矢氏:

オペレーターに求められる「スキルセット」に影響をもたらしていると考えます。単なる情報提供や手続き案内だけではなく、顧客の複雑なニーズを的確に理解し、それに応えられるような適切なソリューションを提案する能力が必要とされているのです。

従来はコールセンターといえば「正確で迅速な対応」が重視されていましたが、現在は「顧客体験の向上」といった新たな役割が期待されていると言えます。具体的には以下のような応対スキルが求められるでしょう。

  • 顧客が置かれている状況の「全体像」を理解したうえでの対応
  • 問い合わせ内容に関連する事柄について「深い知識」を提供する
  • 顧客が抱いている「不満要素」を解消し、関係性を築く
  • VOC(顧客の声:Voice of Customer)の収集および事業への活用

このようにコールセンターは、単なる電話窓口ではなく、顧客との重要な接点として製品開発やサービス改善にも貢献する存在へと進化しているのです。

従来の品質評価では限界を迎えつつある

「減点方式」の評価が抱える課題

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このような変化に伴い、オペレーターの品質評価の基準も見直しが必要でしょうか?

数矢氏:
そうですね。これまでは多くのコールセンターで「減点方式」の評価基準が採用されてきましたが、この評価方法には以下のような課題があります。

  • ネガティブなフィードバックに偏りがち

基準点から減点していく評価方式のため、フィードバックの中心がミスの指摘になりがちです。その結果、オペレーターのモチベーション低下を引き起こす恐れがあります。

  •  創意工夫できる機会を見逃してしまう

オペレーターは「減点されないこと」つまり「基準を最低限満たすこと」に注力してしまい、基準点を超えた範囲での優れた対応や工夫を試みる機会が失われがちです。その結果、オペレーター一人ひとりのイノベーションが促されず、標準的な応対が維持され続けるといった状況が生まれます。

評価方式の新しい在り方とは

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では今後、どのような評価方式が求められるのでしょうか?

数矢氏:

これからのコールセンターには、オペレーターの創意工夫を促し、顧客体験の価値を高める新しい評価の仕組みが求められるでしょう。具体的には以下のような要素が重要となってきます。

  • 顧客体験の価値を高めようとして取り組んだことや工夫したことを評価する
  • オペレーター一人ひとりの成長をサポートする仕組みづくり
  • 良い事例を積極的に共有し、オペレーター同士の学び合いを促進する

人による評価は限界!?AIによる自動品質評価が便利

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オペレーター一人ひとりの創意工夫やその成果を的確に把握して、きちんと評価することの重要性を改めて感じました。

しかし、上司や先輩社員、同僚などの「観察」による評価には正直限界があるだろうと私たちは考えています。

そこで弊社では、人による評価の限界を超え、より多くの通話を客観的に評価することを目指し、音声感情解析AIによる自動品質評価機能を実装した『Beluga Box』を開発しました。
ここで少し『Beluga Box』について紹介させていただきます。

音声感情解析AI搭載コールセンター向けソリューション『Beluga Box』とは

  • 手本となる通話データを学習させることで、全ての通話に対してどのくらい手本に近いかの5段階評価を自動で行える。
  • オペレーター一人ひとりの話し方の特徴を多角的に分析できる。感情を中心とした24の指標で定量的に分析することで、それぞれのオペレーターに応じた改善点を明確にできる。(下記指標の一部)
    • 発話のタイミング
      声の抑揚
      間の取り方
      発話の音量
      …etc
  • 評価ルールはカスタマイズ可能で複数作成できるため、業種や業態に応じて最適な評価方法を設けることができる。

*『Beluga Box』に関してより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

このようなAIを活用した評価方法は今後ますます増えていくことでしょう。人の目や耳だけでは捉えきれなかった細かい感情指標や音響指標の機微をしっかりと把握し、どういった応対がお客様満足度を高めているのかをこれまで以上に深く考察できるようになります。

お客様がコールセンターに問い合わせる内容や求めることが高度化している現代において、こういった「プラスα」の応対を心がける姿勢は欠かせません。この「プラスα」の取り組みをきちんと評価していく「加点方式」の評価基準は、今後のコールセンター業界に普及していくことでしょう。

後編では、「加点方式」の品質評価の具体的な実践方法について解説し、この評価基準の変化がもたらす組織変革について考察いたします。

弊社が開発する音声感情解析AI Empathの詳細についてはこちらから↓
音声感情解析AI Empath (webempath.com)

Beluga Box SaaS(コールンセンター向け製品)の詳細についてはこちらから↓
https://belugabox.webempath.ai/

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株式会社シーエーシー
Empath事業推進室
mail:empath_info@cac.co.jp